大人デートの余韻。

2010年3月25日
ものすごく前もってデートに誘われておりまして。

そのお方は、ずっとご出張で今月はほんの数日しかオフィスにおられず。

そのうちの貴重な一日をなんとワタクシとのディナーに。


ワタクシの仕事の契約が満了になるからなのです。歓送会とおっしゃったけれど、いや、デートだろ?


とても偉い方なのです。組織のエリート。重要なポストもたくさんこなされて、恐ろしく頭の切れるひと。

年齢はわたしより二回りは年上の五十代半ば。いつも誰よりいちばん物事を見極めていて、誰もかなうことがない。

さらにものすごく毒舌で、あんまりおバカなことをわかったように言うやつには本気で怒る。怒鳴る。皆におそれられている。
怖いひとなのです。


でもね、ワタクシは知ってる。

彼は絶対に理不尽なことを押し付けることはない。本気で切れるのは、若造が偉そうなことを言うからなのです。

エリートのくせに、草の根の市民のこともよくわかっているのは、あまりにカンが良すぎるからなんでしょうか。


わたしはこれまで、ものすごくたくさんのことをあの方に教えていただきました。

彼にそれだけ近づき、おしゃべりができるひとなんて、わたしのほかにあまりいないでしょう。

彼があれだけおそれられているのにほんとはお茶目なことも、知っている。気持ちが通じあう部分があるのはわかっている。


二人きりのディナーは小さなフレンチ。ずっと前もって誘っていたくせに、テーブルについたとき照れていたあの方。
かわいい。こんな彼、職場のひとたちは知らないだろう。

オトコはみな、子どもなのだ。


彼と出会い、新しい世界が広がったことも、ずいぶん親しく誰よりもおしゃべりができるようになったのも、いま思いかえせば本当にうれしいこと。


毎日一緒に過ごした日々は、もう終わってしまった。


いま、あまりに淋しい気持ちになって、戸惑っている。
離れてしまうのが、こんなに哀しいなんて。びっくりした。


どうしていいかわからないまま、わたしは彼の不在中に職場を去る。

あれほどわたしを気にかけてくださっていたあの方。

空っぽになるわたしのデスクをみて、何を思ってくれるだろうか。

わたしはただ、そんな秘密のデートの余韻にこっそり浸りながら、淋しさに戸惑いながら、最後の慌ただしい仕事をこなしている。



こんな関係も、あるんだね。


幸せで、どこかせつない。



コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索